ココナラでベンチャーキャピタルを立ち上げた会長南に設立の想いやぶっちゃけ質問まで色々聞いてみた!
こんにちは、HRグループのKAEです(以下、K)!
2022年2月に株式会社ココナラが全額出資する子会社”株式会社ココナラスキルパートナーズ(以下、CSP)”が設立されました。早くもVC(ベンチャーキャピタル)業界で話題になっていますが、そもそもなぜココナラがVC事業に参入したのか?なぜ子会社として立ち上げたのか?
今回は、株式会社ココナラ取締役会長であり、株式会社ココナラスキルパートナーズ代表取締役の南さんにたっぷりお話しを伺ってきました!
スタートアップと一流のスキルを結ぶ全く新しい「マッチングプラットフォーム型ベンチャーキャピタル」
K)南さん!CSPの設立、おめでとうございます!今日は遠慮なく質問させていただくので色々聞かせてください笑。
南)はい笑。宜しくお願いします。
K)2020年8月に歩さんが社長に就任、南さんが会長に。2021年3月にココナラが上場、2022年2月にCSP設立と、ここ数年南さんご自身かなり目まぐるしいですね。最近は主に何をされてるのですか?
南)最近は毎日複数の起業家と投資検討の面談をしていて、かなり忙しくしてます。おかげさまでCSP設立のプレスリリースを打ってから1週間足らずで60件近くの問い合わせがあって。その内、30件ほど面談を進めて、4月末までに6~7社ほどに投資する予定だよ。
K)すごい反響とスピード感ですね!面談は全て南さんが担当されてるのですか?
南)はい。今後はキャピタリストも採用していく予定だけど、今のところは僕1人で面談から投資の決定まですべてやっています。ココナラ本体の事業は基本的に歩ちゃんに任せていて、僕は一部の組織運営や人事に関わるくらいかな。
K)そもそも、なぜVC事業を立ち上げようと思ったのですか?
南)理由はいくつかあるけど、根幹となる想いは「これからの日本経済を担うスタートアップの課題解決を支援する」ということ。
当たるか外れるかわからないベンチャー事業のなかで、仮説が正しくてなおかつ経営手腕も優れ、あとは資金だけあれば成功するという優良な案件は全体のわずか1割ほどなんだよね。
逆に、仮説自体が違っていて浮上できないのが3〜4割。残念ながら、これは粘ったからといってどうにかできるものではなく、VCも出資金を回収できずに終わってしまう。
注目したいのが、仮説は正しい、もしくは間違ってないけど、経営に何かしらの問題があってうまくいかないという残りの5〜6割。マーケティングや採用、組織運営などのどこかが上手くいかず当初の目論見通りに成長できないと、VCは次のお金を出してくれない。投資家も多少のメンタリングはするものの、事業のプロではないから大きな軌道修正はできず、やがて原石は輝きをみないまま淘汰されてしまうという。
何を隠そう、ココナラがずっとそういう状況だったから笑。「なんとかいけそうだね」と光が見えるまでに創業準備から丸4年。それまではずっと倒産ギリギリで、資金不足のなかで新たな採用や開発もできなくなり、水面からギリギリ顔だけ出した溺れかけの状態でなんとか突破口を開こうとするような。非常に苦しい状態だったんだよね。
K)ココナラにもそんな時代があったのですね…。でも、経営の課題は経営者自身がその道のプロに相談して解決できる問題なのではないですか?
南)それはとても自然な発想だと思うけど、超一流のエキスパートと初期のスタートアップのマッチングは「起こり得ない」というのが、僕が辿り着いた事実で。なぜなら、シンプルに報酬が合わないから。
例えば今回、CSPで投資先の支援部隊としてジョインしてくれたスキルパートナー(専門家)の中には、普通に相談すると時給30万円というハイグレードな方もいる。これはさすがにスタートアップの手が出る費用感ではないんだよね。
専門家にもスタートアップを支援したいという気持ちはあるものの、自分の知識を生業としている職業だからこそ「この人たちだけ安く受けます。タダでやります。」とは言えない。
CSPは、スキルパートナーに対して、目先の報酬は一切払わない。また、スタートアップからお金は1円ももらわない。その代わりにファンドとして投資家の取り分を減らし、本来投資家がもらうべき取り分を後からスキルパートナーに分配するという仕組み。これにより、スタートアップと超一流のエキスパートのマッチングを可能にしたんだ。
K)CSPでスキルを提供するパートナーの立場としては、ファンドが成功したら大きな報酬を得られる可能性があるということですね!同時に、当然失敗するリスクもあると…。
南)そこは投資家とイコールフッティングだと思っていて。専門家の持つ「スキル」を、投資家にとっての「お金」と同じように捉えて扱うのが、CSPの大きな特徴。
世界は資本家と労働者でできていて、資本にアクセスできる人はいくらでもお金持ちになれるけど、労働者はどこまでいってもタイムチャージを上げることでしか収入を上げることができない。当然、究極に仕事ができる人は年収も上がっていくけど、それでも3,000万円くらいで頭打ちでしょう。
日本のトップクラスのスキルをもった人が、常に次の案件を探しながらタイムチャージで生きていくみたいな現場から抜け出し、大きな資本にアクセスできる世界。夢があると思わない?純粋に「この発想面白い!」と感じたスタートアップをスキルでサポートしてメンタリングしたら、いつかすごい返ってくるみたいな。
CSPの事業を日本に浸透させることで、スキルをもっている人たちの新たなロールモデルをつくりたいという狙いもあるんだよね。
K)スキルをもっている人たちのロールモデルを作りたい!まさにココナラの目指す世界観ですね!
南)そうそう。ココナラは「個人の知識・スキル・経験を可視化し、 必要とする全ての人に結びつけ、 個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供する」というミッションを掲げてて、今回CSPは対象が「一流の専門家」と「スタートアップの起業家」に変わっただけで、発想の源泉は全く同じなのよ。
極めて“ココナラ的”で、ミッションステートメントに一字一句当てはまる「マッチングプラットフォーム型ベンチャーキャピタル」!
K)いや~、本当にすごいです!
「なぜ子会社?」「南さんは儲かるの?」社員の素朴な疑問をぶつけてみた。
K)ココナラの社員の皆さんも、南さんに聞いて欲しいことがたくさんあるようで、今日は質問を預かってきました!ということで、早速最初の質問です!
Q.なぜココナラの新規事業ではなく子会社化したのですか?
南)単純に、意思決定のルールを別にもつためだよ。ベンチャー投資ってスピード感がめちゃくちゃ大事で、最初の面談で「今月中に着金して欲しい」「1ヶ月以内にお金が欲しい」と言われることもよくあるから。
もし、ココナラ本体でファンド運営をしたら、1件1件すべてを月1回の取締役会で決議を通す必要がある。でも、僕の感覚としては15分程度のプレゼンを聞いて30分の質疑応答をして大体判断しちゃうくらいのスピード感だから。
ちなみに、出資第1号案件の"Cashi Cake"も10分程度の立ち話でおおむね出資を決めたんだ。もちろんその後に資料はちゃんと見ているけれど、判断としては大部分が最初にされてる。自分自身の意思決定でスピード感をもって進めるためというのが理由だね。
K)なるほど、シンプルな理由ですね。しかしそれだけのスピード感とは、想像以上でした!では、続いての質問です。
Q.将来的にココナラのスタッフがCSPに関わる可能性はありますか?
南)可能性として、ないことはない!ただ、キャピタリストはちょっと特殊なスキルなので、やれる人は限られてくるかなと。ベースとして金融と法律の知識が必要だからね。金融業界寄りの経験やスキルを生かしてキャピタリストになる人もいるかな。
普通キャピタリストとして独立する人って10年くらいは修行するので、「生涯VC業務を生業にしていく」くらいの覚悟がないと飛び込めない領域なんだよね。その他の関わり方として、バックオフィスやマーケティングといった領域でお手伝いをお願いすることは可能性あるかもね。
K)なるほどー!どんどん行きます、続いての質問です。
Q.ぶっちゃけ、南さんは儲かるんですか?
K)…笑。
南)そうだなあ…単純に儲けたいだけならココナラを辞めて1人でやった方が圧倒的に儲かるよね笑。今のところ、投資家を集めているのも僕だし、投資先と面談をしているのも僕だしね。それをせず、あくまで「ココナラ」という傘の下で出資をする理由は、やはりココナラとしての世界観を実現するためなんだよね。
当然、成功すれば連動した報酬がないわけではない。が、結果が出るまでにはかなりの時間がかかるから。VCってひとつのファンドで基本的に10年運用するんだよね。加えて2年まで延長できることを考えると12年。今46歳の僕がCSPを始めたということは、つまり「58歳まで現役で頑張ります!」ということを宣言したのと同じで。途中でやめられないわけよ笑。
K)CSPは南さんのココナラ人生をかけた事業ということですね!「儲かるんですか?」…意外といい質問でしたね。
南)いや、難易度高めの質問をいい感じで返したと思って欲しいかな…笑。
K)…。では最後の質問です!
Q.今後CSPで新規の採用はしますか?
K)南さんのFacebookで募集の投稿をしていましたよね。どんな人を求めているのか、どんな人が活躍できるのか…ぜひ、興味をもっている人へのメッセージを添えて教えて欲しいです!
南)直近ではさっき少し話したキャピタリストを募集していく予定だよ。キャピタリストには、起業家や投資家をつなげるHubとしての役割が求められる。だから、スタートアップが大好きなセールスパーソンやコミュニティマネージャー的な人は適性があるといえるでしょう。フットワーク軽くいろいろな人に積極的に会いに行き、謎に情報通で、カンファレンスに行けば知らない人が誰もいない。そんな行動力、愛嬌、好奇心に溢れる方はぜひご連絡ください!
K)南さん、ありがとうございました!これから、出資第1号である"Cashi Cake"さんに次ぐ投資先がどんな素敵な会社なのか。発表が楽しみです!南さん、ありがとございました!
※この記事は2022年4月に公開された記事です(所属や役職の一部当時のものです)